JR西日本が不採算路線の収支公表。億単位の赤字路線も。鉄道の維持費は何でこんなに高い?
2022年4月11日、JR西日本が不採算路線17線の収支を初発表し、その赤字額についての記事が、ネットニュースなどでも度々取り上げられました。
JR西日本が「不採算17路線の収支」を初発表した本当の理由とは
不採算路線の赤字額や営業係数(100円稼ぐのにかかる費用)が公表されたことで、「この線区はバス転換もやむ負えないのかもしれない」「鉄道ネットワークを残すためには赤字額だけで廃線することはできない」、などの意見が上がってきています。
JR西日本が不採算路線の収支を発表したことで、こうした意見が出てきましたが、公表した意図について、JR西日本側から真意は述べられていないようで、憶測が飛び交っている状況です。
JR西日本が発表した赤字額は、例えば、大糸線の南小谷から糸魚川は6億1000万円の赤字(出典)、紀勢本線の新宮から白浜間の赤字額は28.6億円となっています。(出典)
大糸線の赤字額に6億1000万円とありますが、私はこれを最初に見た時に、一体何年間で6億の赤字?と疑問が湧いてきたのですが、実は1年間で6.1億円の赤字が出ていると算出されていました。
大糸線の南小谷から糸魚川は、距離にして35.3km。
一両のディーゼル車両が走っており、概ね、2,3時間に一本という間隔で走っています。
路線の特徴としては
・単線
・非電化
・トンネルやロックシェッド(落石覆い)あり
・川を渡る橋梁あり
・35.3km
・運行している列車が上下合わせて一日16本ほど。
このような路線の運用に係る経費は、平均6.1億円以上かかるというのには驚きです。(赤字額は営業収入−支出経費と考えています)
車両を走らせるための燃料費がかかり、駅員さんや運転士さんの人件費がかかります。そして、安全に運行するためには当然、日々の点検・修理などが欠かせないないことは分かります。点検・修理が、車両や線路、ATSや信号、またトンネルや橋梁、駅舎などの諸々の構造物に掛かってわけですが、それらを入れて、年間平均6億円以上もの金額がかかるというのには少し驚きです。
前述の紀勢本線の赤字額が年間28億円以上ありますが、その赤字額の大きさの原因に、紀勢本線には特急が走っており、高速で車両を走らせるために、それなりに費用がかかるという事情が関係しているようです。
高速で走らせるにあって線路の強化が必要と考えられるほか、
また、紀勢本線は電化されているため、非電化の路線に比べ、架線などの設備の維持費が増えます。
収支が発表された、白浜から新宮間の距離は95.2kmと大糸線より長いというのがあります。
鉄道の運用するにあたって、この膨大なコストがネックになっており、運用のコストがここまでかかるとなると、鉄道のコストを削減できる新技術の導入や、過剰な予算設定の見直しなど、運用コストを抑えていかないと、利用者の少ないローカル線では経営が成り立たず、地域や国などの負担がついて回るものになる。ということが、やはり考えられます。
JR東日本では予算の使い切りがあり、そのために必要以上に受注費が払われるなどされ鉄道の維持費が膨れている可能性が十分考えられます。(リンク)
エネルギー費用において本当は今より削減できる事は間違いありません。鉄道の維持を続けるにあたって、そう言ったことも踏まえて考えなければならないと感じます。