第三セクター,  鉄道社会問題

津軽鉄道が運転士不足で減便。鉄道現業職での人手不足が深刻化している。

津軽鉄道が運転士不足によって減便を余儀なくされたというニュースがありました。

運転士が1名退職し、その後、運転免許を持っている社員が運転士を兼務しながら、ダイヤを維持していましたが、今年(2025)6月1日からは、上下線合わせて5本を減便することになりました。

津軽鉄道 6月1日からダイヤ改正 運転士退職で5本減便へ

利用者の低迷により減便がなされるという話は聞くことがありましたが、運転士不足により減便がなされるというのは私自身、あまり聞いたことがなりませんでした。

鉄道の現業職では人手不足が進んでいると言われます。

鉄道の現業職というのは、運転士さん、車掌さん、駅員さんなどで、また、保線、電気、車両技術、土木技術係の仕事なども含まれていると言われます。

鉄道の現業職の口コミでは、仕事のハードさ、待遇の悪さなどが挙げられており、その中でも自己都合退職者が出ているという口コミが出ています。

中には鉄道会社の仕事が好きだという声もあり、他の人が不満を感じる仕事でも、楽しみながらこなせるという人もいるというのが見受けられます。

業務内容に向き不向きが別れるのかもしれません。

それでも業務内容との待遇に不満を感じる声もいくつも挙げられていることが伺えます。

鉄道会社での人手不足についてネットで検索すると、いくつもニュースや記事が見受けられますが、特に地方の鉄道会社で、人手不足の問題が顕著になっているようです。

地方鉄道の運転士「不足」と半数が回答

 

鉄道が減便すると、本数が少なく不便になることで利用者が離れ、利用者が離れると、鉄道会社の運賃収入が減っていき経営が厳しくなる。すると赤字を減らすために輸送コストを削って、また減便になるという悪循環が生まれています。

鉄道の運行本数を減らすことが、あまり経費削減にならないということがあり、JR北海道で公表された営業費用のデータを示されている方がいます。

そのデータによると、JR北海道の営業費用のうち、動力費が占める割合は、わずか4%程です。

動力費というのは、電車や気動車を動かすための費用になるようです。

続いて、56億円(4%)の動力費を考えます。

電車でいえば電気代、気動車(ディーゼルカーなど)でいえば燃料代。列車本数を減らせば、それに伴って削減できる費用であることは、容易に理解できると思います。

https://blog.kys-honpo.com/entry/unkyuu-cost-cut

運行本数を減らすこと自体は鉄道会社全体から見てあまり大きな経費削減にはならないことが伺えます。

車両を多く持っている場合は、減価償却費が毎年計上されるはずなので、会社が多く車両を持っている場合は、その車両の購入費に見合った減価償却費が計上されるということはあるでしょう。

少し、グラフが離れてきましたが、先ほどのJR北海道の営業費用のグラフでは、人件費が37%を占めています。

例えばJR東日本で人件費削減が進められており、それに伴って駅員の削減や列車のワンマン運転化が進められています。これは、利用者の多い首都圏エリアでも進められています。

ワンマン運転 JR東日本や大手私鉄9社の導入は 運転士の手順など同乗取材

人件費が減ると、鉄道会社の経費が下がるというのはそうなのでしょう。

JR北海道の例にみると、営業費用の37%が人件費を占めていたためです。

ただ、人があっての鉄道というのはあって、鉄道は人に役立つものとして作られたものです。

鉄道の業務に携わる人が減っても運行できることが、今の本州3社のJRや大手私鉄では目指して進められています。

技術の継承がままならないなかで、鉄道に従事する人が減ることで、鉄道の技術が衰退することが懸念されています。

ただ、口コミで不満が投稿されているように、不満を持ちながら、半ば鉄道の現業職に嫌気がさして、モチベーションが低いまま働く人が多いのであれば、おそらくそれも鉄道業界の衰退に繋がるということが考えられます。

日本の景気がそれなりにいい時代は、鉄道の現業職の業務が大変でも、社会的信頼が高いとされた鉄道業界に勤め、それなりの給与を受けながらやっていくことができ、不満の声が噴出する機会も少なかったのかもしれません。

 

コロナパンデミックが起きてから、鉄道業界の風向きが変わったと言われおり、コロナを経て福利厚生が大幅に削られた鉄道会社もあるそうです。

https://youtu.be/d20ViAotueg?si=Je02mU0BoIyQq9XX&t=45

コロナ後に鉄道会社の社会的な立ち位置が、それまでに比べて安定したものではなくなったということが見受けられます。

冒頭で述べた津軽鉄道では、車掌業務は、非正規雇用からのスタートとなりした。機関士免許を取得して正社員となるそうです。

それまでの安定した鉄道員のイメージと変わってきていると感じます。

リモートワークの普及により、通勤需要が減少する社会が到来し、通勤利用客の運賃収入は減少することが考えられます。

また、鉄道の利用客減によって運賃収入が減る理由として、人口減少が挙げられています。

人口が減少することで、鉄道の利用客が減り、運賃収入が減っていくということです。

こうした鉄道の利用客減少によって、運賃収入が減っていくことが全体として予想されていることがあり、鉄道を維持していくために経費削減が必要だという話が出ています。

そこで、営業費用の3割以上を占める人件費を削減するということも考えられているのかもしれません。

もちろん会社は表向きそのようなことは言わず、人手不足の解消のためにワンマン化などを進めていると言われています。

果たして、人員削減をどこまでやるつもりなのかはわかりませんが、給与が下がっていって人手不足が進むなら、本当に鉄道の業務に向いている人でないと続かないというケースも増えてくるかもしません。

しかし、そのような人でも無理な労働を強いられたら倒れてしまうことも考えられます。

そうならないために自動化が進み、現業の職員さんがきちんと集中して業務をこなせるようになるのは必要なことでしょう。

自動化が進む中で、熱意を持った現業職員が働きやすいように整えられれば、そのような人からアイデアや高度なスキルというものが生み出されることがあるでしょう。本当にただただ人員を削減するのでは衰退の一途を辿ることが考えられます。

人員削減が進み、待遇の悪化が進むと、鉄道の仕事をやめていく人も増えることが予想されます。

そのように、一昔前は、待遇が良く安定していると言われた業界からも、人があぶれるような世の中です。

一人一人に本当に合った生き方を探すことが、重要になってくるでしょう。

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