東急田園都市線,  鉄道全般,  鉄道技術

東急田園都市線、梶ヶ谷駅の列車接触事故。煩雑になるシステムをシンプルに出来たら見落としを減らせないか。

東急田園都市線の梶ヶ谷駅付近で、列車同士が接触する事故がありました。

留置線に入っていた回送列車と各駅停車が接触し、回送列車の一両が脱線する事故となりました。

不幸中の幸いに、怪我人はいなかったと報じられています。

回送列車が留置線に入りきっていなかったため、列車同士が接触したという状況でした。

回送列車が留置線に入りきらなくなってしまった経緯と、各駅停車が止まらず、衝突してしまうに至った経緯が報じられています。

東急田園都市線の衝突事故はなぜ起きた?原因は10年前の「まさかのミス」だった

回送列車が本線側へ少しはみ出た状態であるにも関わらず、本線には青信号が現示されてしまい、ATC(自動列車制御装置)は各駅停車にそのまま進行の指示を出し、はみ出た状態の回送列車に接触してしまったことが報告されています。

梶ヶ谷駅の線路改修工事の際に、連動装置の設定が不十分であり、回想列車が留置線に入りきらなかったが、本線に青信号が表示されてしまっていたようです。

※連動装置は、転轍機と信号を連動させて列車の誤侵入や衝突を防ぐための安全装置です。

https://diamond.jp/articles/-/374513?page=3

 

・煩雑なシステムをシンプルにしていけるかどうか

ここからは私的な意見も交えて書かせていただきますが、更新工事の際に見落としが起きてしまいやすくなる要因には、システムの煩雑さがあるのではないかと思うことがありした。

今回は、古くから使われているシステムの(閉塞区間を用いた)信号現示と合わせて、ATC、連動装置と、いくつものシステムが合わさっている場所での事故でした。

これらのシステムの連携を維持して、更新工事をしていく際に、システムを見返したときに見落としてなく、シンプルに理解できるかがミスを減らすことに関わってくるのではないかと、個人的には思いました。

システムの全体像を正確に把握できる人がいなければ、それだけ見落としがあっても気づかず、何か間違えがあっても、それに気づくのが難しくなります。

・シンプルなシステムの開発例

列車が衝突しないかは、列車の前後間隔と、その列車のスピードが関係しています。

また、今回の梶ヶ谷駅のように、ポイント切り替え時に列車が干渉しない位置まできちんと移動しきっているかです。

JR東日本が開発した列車保安装置「ATACS」は、GPSを使い列車間の距離を測って速度制御を行っています。

https://www.jreast.co.jp/recruit/career/special/atacs

列車の位置をダイレクトに計測するATACSは、従来の軌道回路より、ケーブルや線路上の機器が削減されシンプルになった機能だと言われています。

2020年10月時点、ATACSは、JR埼京線の池袋〜大宮間と、JR仙石線のあおば通り〜東釜石の間で導入されています。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ATACS

ATACSはJR東日本が開発している列車保安装置ですが、このように保安装置がよりシンプルになることで、改修時の再設定にも見落としが減るのではないかと期待したいです。

管理体制も整えられた安全な保安システムが誕生し、鉄道の安全運行が守られますことを祈ります。

 

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