鉄道全般,  鉄道技術

欧州で運行する水素列車にトラブル。日本の水素車両とのトラブルに差。

2年に1回ドイツで開催される世界最大の鉄道技術見本市・イノトランスでは、近年、水素燃料車両の展示が盛んなようです。

2016年からイノトランスで展示され、水素燃料電池を使った電車「iLint」が、ドイツの鉄道路線で営業運転に使われています。

「iLint」は、フランスの車両メーカー「アルストム」と「ドイツ航空宇宙センター」の共同開発によって作られた車両です。

https://ja.wikipedia.org/wiki/コラディア・リント

「iLint」は営業運転に入っていますが、どうやら故障が相次ぎ、営業に支障をきたしているというニュース記事が出ています。

今後どうなる?故障で全面運休も、欧州「水素列車」の前途多難 期待高いが時期尚早?メーカーもトーンダウン

■ドイツでの営業運転で問題露呈  

では、さらに前の2016年のイノトランスで展示され、ドイツ国内で2018年から試験運行を行い、2022年から本格的な営業を開始したアルストム製の水素燃料車両「iLint」はどうなったのであろうか。

 iLintは、独ニーダーザクセン州北東部のEVBとヘッセン州のRMVという2つの鉄道で営業運行しているが、両社とも状況は芳しいものではない。  EVBの列車は動力源となる水素の不足により、現在はディーゼルカーが代走している。水素を製造する工場で発生した火災事故によって供給に問題が起きているためで、影響は鉄道のみならず水素燃料を使った自家用車のためのスタンドにも及んでいる。水素供給という、インフラ部分の脆弱さが露呈した形となった。

 さらに深刻なのがRMVだ。2024年10月現在、iLintで運行していた路線「RB15」(フランクフルト中央駅―バット・ホンブルク―ブラントベルンドルフ間)は運休となり、バス代行が続いている。iLintは27本導入されたが、頻繁に故障が発生して列車の運休が相次いだうえ、メーカーの補修部品欠品で修理もできず、稼働できる車両がほとんどないという有様なのだ。  アルストムはこの対応に追われているが、現段階では人員を増やして対応部品の増産やサポート体制を強化するといった話に留まっており、解決には相当な時間を要しそうな状況だ。もともと運行していた車両をiLintで完全に置き換えてしまったことから、代走のための車両を手配することもできず、少なくとも今年12月まではバス代行が続くと考えられている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a800fc88576eb0593fc217139726b6fdd9113a6c?page=2

「iLint」では故障が相次いでいるという話ですが、車両の故障というより、水素を製造する工場で発生した火災事故によって水素燃料の供給に問題が起きているためとされています。

 

日本でも、水素燃料技術は、既に何年も前から実用化されています。

ご存知の方も多いかと思いますが、トヨタ自動車の「ミライ」がそのひとつです。

東京都内では2017年から、順次、燃料電池を使った通称「水素バス」の導入が始まっています。

都内を走行する燃料電池バス

東京都交通局、京浜急行バス、日立自動車交通、東急バス、京王電鉄バス、京成バスの路線バスに導入され、また、大新東株式会社の運行する送迎バスや、JR東日本が運行するJR竹芝水素シャトルバスに導入されています。

これらのバスはトヨタの「SORA」という車種が使われているようです。

このように、日本ではトヨタの「ミライ」が販売され、営業用のバスに「SORA」が導入されています。

日本で運用されるこれらの燃料電池車については、故障や水素ステーションでの事故が相次いでいるという話は特に聞いたことがありません。

 

「iLint」で問題が起きているという話についてですが、水素技術にトラブルが相次いでいると騒がれることで、トラブル防止や開発費という名目で、追加の予算を得る口実作りにも使われるかねません。

水素技術が高価な技術だと宣伝されることで、やはりインフラに使うための税金や水素技術を得る企業が’こんなにお金をかけて作ったんですよ’と販売価格に上乗せして利益を上げることなどにも使われかねません。

 

水素燃料の技術は、実は塩水を使った発電であり、公表よりも遥かに安価な技術の可能性が高いことがRAPTブログで明らかにされています。

水素は引火すると爆発しますが、これまで水素燃料車の事故で爆発事故の話や、水素ステーションで爆発事故が起きた話は出てきません。

もし塩水を使った発電であれば、タンクの燃料(塩水)が爆発することもないでしょうから、そうそう爆発事故が起きないと事も考えられます。

 

因みに、水素燃料の鉄道車両は日本でも試運転が行われており、JR東日本が運行するFV E991系という車両です。

こちらの車両は2022年3月より実証実験を開始しており、鶴見線や南武線、南武支線で試運転が行われています。

https://www.jreast.co.jp/development/theme/energy/pdf/energy13.pdf

FV-E991系は、トヨタ自動車と日立製作所が共同で開発され、トヨタの燃料電池技術が使われているようです。

 

 

アイキャッチ画像はこちらより転載