鉄道全般,  鉄道社会,  鉄道社会問題

JR東日本に未だに残る悪習慣、予算の使い切り。

JR東日本に残っている問題、それは「予算の使い切り」になります。

予算の使い切りと言うのは、よく役所で行われていると言われ、税金の無駄使いに繋がっていると考えられます。

代表的なものは国土交通省の道路工事です。その年の予算を使い切るために無駄な道路工事をしている、と言う事で問題になりました。

しかし道路工事だけでなく、書類上の予算の使い切りは、あらゆる役所で行われていたのが現実でした。そんな無駄遣いが横行しているのが、日本のお役所だったのです。

少し長いですが、リンク先が消された時の事を考えて、転載文を以下に掲載いたします。

ーー霞ヶ関官僚日記よりーー

役人になる前には大学生だったのだが、そのころから「役人はこんな酷いことをやっている、これは変えねばならん」とか思っていたものがいくつかあるわけです。その一つが「予算使い切り」という悪習。
役所に入って驚いたのは、本当にそういう「使い切り」をやっていること。よく年度末の道路工事と絡めて語られますが、国交省だけでなく他のどの役所、どの局、どの課でも使いきりはやります。
使い切る理由として挙げられるのが「予算を余らせるとその分削られる」ということだけど、これが全くそのとおり。主計局の担当官に「なんでこんなに余ってるの」「じゃいらないね」と言われ、「いやいやこの不用にはこれこれこういう理由がありまして…」とか反論することもしばしば。けど削られちゃう(使い切れず余った予算を「不用」と言います)。
なぜ削られることが問題か。一つは役人の評価システムの問題。今はだんだんそういう風潮はなくなりつつあるけど、それでも「権限を拡大した役人はいい役人」という風潮は、実際のところある。「権限」の中には予算も含まれるので、予算を分捕ってきた役人は優秀であると。ということは逆に予算を減らした役人は優秀でないということになる。だから予算を減らしたくない。
もう一つ。例えば去年はそんなに予算がいらなかった、しかし来年は一昨年レベルで予算が必要になるという場合がしばしばある。そういうときには「増額要求」をするわけだけど、この増額要求がとてつもなく手間がかかる。主計局は既存予算をいちいち見るほど人的資源が有り余っているわけではないので、必然的に新規要求、増額要求を重点的にチェックする。主査や担当官はめちゃくちゃ詰めてくるので、新規・増額の要求は非常に時間もかかるし、説明資料を作るのも大変だし、とにかく手間。たまたまそんなに予算を使わなくて済んだ年でも、それが「たまたま」であることが分かっていれば、いちいち増額要求するのも手間なので使い切ることにする。
さらに言えば、一度減額されてしまうと、その減額された分は他の課なり局なり役所なりが使うことになる。ということは、増額しようとすると他の部署の予算を引っぺがしてもってこなきゃいけない。他の部署は当然引っぺがされたくないので抵抗する。ということは、増額は非常に難しいということになる。
というようなメカニズムから「使い切り」が発生します。ではこれをどうするか。システムとして使い切りが発生する以上、他の様々な社会問題と同じように、「使い切りするな」と言えば済む問題じゃない。とすると、いかに役人の評価システムを変えていくか、いかに予算の増減を柔軟に行っていくシステムにするか、ということ。

ーーーー

予算をたくさん取ってきて、使い切るのが「良い役人」という、おかしな文化が官庁内ではまかり通っている事がわかります。

予算は国民が納めた税金から使われますからね。

つまり税金をたくさん使って、官庁にぶら下がる企業を儲けさせた人が「良い役人」となってしまう訳です。常識的に見たら、これを「悪い役人」と言いますけどね。

これでは、時間と共に、どんどん国民の生活が苦しくなるのは当然です。

国土交通省の例をあげると、無駄な工事をする事で儲かるのは一部の土建屋だけです。

予算をたくさん取り、年度末まで予算を使い切るように、どんどん工事を発注し、その工事をする土建屋にどんどんお金も流し込む、という仕組みになります。

JR東日本でも、このような「予算の使い切り」という文化が残っています。

一応、JR東日本は民間企業ではありますが、その前は「国鉄」と言って100%国の出資で運営されていた組織であり(こういった組織を「外郭団体」と呼んでいるそうです。)、いわば役所の一つのような組織でした。

JR東日本の初代社長は、住田正二(すみたしょうじ)氏で、彼は官僚出身で、運輸省の事務次官をやっていました。

国鉄は、運輸省の100%出資で運営されていた団体です。なので運輸省は国鉄の上に立つ、いわば親会社のようなものです。その運輸省の事務次官だった人が、JR東日本の初代社長になりました。

住田正二氏は、JR東日本発足後も組織の簡素化などに尽力したそうです。(こちらより)

がしかし、今でもJR東日本に「予算の使い切り」があるという事は、彼はこの役所文化を残したままだったと考えられます。

その後の社長に、松田昌士(まつだまさたけ)氏が着任しました。彼は国鉄出身で、国鉄民営化の推進に尽力した「国鉄改革3人組」の一人でもありました。国鉄民営化のために働いた中心人物が社長になってもなお、「予算の使い切り」が残ったという事は、民営化後もこのお役所体質を無くすつもりはあまり無かったんだじゃ無いかと思えてきます。

その後の歴代社長は、大塚陸毅(おおつかむつたけ)氏、清野智(せいのさとし)氏、冨田哲郎(とみたてつろう)氏と続いています。そして今(2019年7月)の社長には、深澤祐二(ふかざわゆうじ)氏がいます。

実はこちらに並んだ歴代社長は皆「国鉄」出身なんです。(こちらより)

因みに、大塚陸毅氏は、父親がかつて南満州鉄道に勤務しており、南満州鉄道も日本政府が資本金の半分を(当時の1億円)を出資して設立された鉄道会社です。清野智氏も父親が国鉄に勤務しており、彼らは国の運営する鉄道会社で代々勤務しており、役所色を強く引いている可能性が高いです。

このように国鉄出身の人たち、またお役所色を強く引いている人達が、JR東日本の歴代社長に着いている事によって、「予算の使い切り」が中々無くならないと考えられます。

この「予算の使い切り」が残っていることは、庶民にとっても問題なんです。

色んな面で損をする人が出てきます。特に何も知らずに真面目に働いている人ほど損をします。

そして、損をする人達の範囲は、乗客、現場で働く人々、鉄道趣味の人、JRからテナントを借りている人など、様々な所に波及します。

まず鉄道のメインの収入源となるのが運賃です。その乗客の支払った運賃が、必要もない工事や修理に使われ、経費削減に繋がらない技術開発などに投入される事になります。

すると乗客にとっても問題があります。知らずに高く払った運賃が「予算の使い切り」によって必要もない所に回される事になります。しかも、JRの運賃て、お得なパスを上手く使わないと結構割高な場合が多いですからね。

乗客は、本当はもっとお手頃な値段で電車の旅行に行けるかもしれないのに、「予算の使い切り」によって、割高な運賃を支払って旅行に行く事になりかねないのです。

また、現場で働く人たちは、人件費削減を迫られているはずです。

鉄道の省エネ化やメンテナンスフリーが進み、低コスト化も進んでいるのに、現場で働く人々はギリギリの人数で、低い給与のまま働く事になっています。「予算の使い切り」など無駄な所にお金が流れる事が無くなれば、現場で働く人々に余裕も生まれるはずです。

そして、鉄道ファンの方も実は損を被ります。

予算が必要もない所に回される事によって、新型車両に、同じような車両しか作られなくなる、という事が起きるのです。

現にJR東日本に投入される普通列車の新型車両はほとんどがE233系と同じような車両になっています。庶民が乗る車両は、大幅コストカットされ、部材が統一化され、デザインも統一化されています。

そのため、JR東日本の新型車両にはどこか面白みを感じない、という方も増えているのではないでしょうか。

このように、予算が然るべき所に使われなければ、鉄道文化の陳腐化も起きてしまいます。

また、電車を作る側の人たちも、同じような車両ばかり作る日々が続くと倦怠感を覚え、その仕事にワクワク感を感じなくなってしまうはずです。

国鉄がJRへと民営化され一般企業になったように見えますが、その中身は国鉄時代のままお役所体質を引きずっています。

庶民からしたら、民営化というのは本当に謎だと思います。政府はあれこれ良いような事を言いますが一体何が変わったのか?とはっきりと言葉で言えるくらいに把握した人は、殆どいなかったと思います。私もよくわかっていませんでした。

ただ、時が経って見れば、民営化した事で人件費削減にシビアになり、職員の仕事も増え、労働環境は過酷になってきているというのが現実でした。

民営化の中でも大きかったのものに郵便局があります。この郵便局の民営化を「郵政民営化」と呼んでいますが、この「郵政民営化」は正に一部の人達を儲けさせるものでした。

「消費税増税」と「郵政民営化」はトヨタの元社長「奥田碩」によって進められ、トヨタの懐を潤しました。

マスコミと有名陰謀論者が「郵政民営化」を叩いたのは、我々国民の利益を守るためではなく、トヨタとロスチャイルドの利権を守るためでした。

公共事業を民営化させると、その事業所は「株式会社」になりますよね。そうすると株主という人達が現れ、会社は彼らに株主配当金を払う必要も出てきます。

配当金は、もちろん庶民が払った使用料から捻出されます。郵便局なら切手や、銀行預金、手数料など、鉄道会社なら運賃、水道会社なら水道料、電力会社なら電気代、ガス会社ならガス代といった具合にです。

民営化を行う事で、公共事業を一部の人達の儲け話にすり替える事が出来てしまう訳です。

その儲けの分は、ちゃっかり庶民が支払うようになっている、というのが影ながら使われているトリックです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です