バッテリーが進歩すると、電車から出る粉塵(ブレーキダスト)が減らせる?
次世代の電池として全個体電池が開発されています。
電気自動車への搭載が期待されており、各社が開発に乗り出しています。
いま電気自動車には、リチウムイオンバッテリーを搭載することが主流となっていますが、全個体電池には、リチウムイオンバッテリーの弱点を補うことのできる特徴があると言われています。
例えば、以下のような特徴が挙げられています。
メリット | ・安全性に優れている ・急速充電ができる ・液漏れのリスクがない ・自由度の高い設計ができる ・大容量化できる |
デメリット | ・充放電を繰り返すと亀裂を生じる |
全固体電池とは?種類やメリット・デメリットをわかりやすく解説
充電放電を繰り返すと亀裂が生じるというデメリットがあり、バッテリーは充放電を繰り返すことが前提なので致命的なデメリットとなっています。恐らく、この点を克服する事は課題となっているのでしょう。
従来のリチウムイオン電池を使った電気自動車は、充電時間が長くなっています。
充電時間は、バッテリー容量によって変わりますが、ほぼ空の状態からフル充電まで10時間以上かかることもあります。
(リチウムイオン電池でも、急速充電器を使うことで充電時間は短くできます。)
上の表にもありますが、全個体電池は、急速充電ができ、大容量化ができるなど、使い勝手の良さがあります。
充電時間が短くなり、大容量化ができると、充電にかける時間が減り、その分運転を止めなければいけない時間が減ります。
全個体電池が、電気自動車に搭載できるのであれば、電車にも搭載することができます。
現在、リチウムイオンバッテリーを搭載している鉄道車両が運行されており、JR東日本・烏山線を走っているEV-E301系、京王5000系(2代)、東京メトロ2000系、東海道新幹線を走るN700S、などがあります。
EV-E301系は、バッテリーからの電力で、烏山線を走っており、電気自動車と同じような仕組みになります。
他の3車種は、補助電源としてリチウムイオンバッテリーを積んでおり、非常時でない限り、架線から取り込んだ電力を使ってモーターを回して走ります。
モーターを発電機として使って、車を減速させる回生ブレーキという機能があります。
回生ブレーキ(かいせいブレーキ)は通常時、電動機(モーター)として電源入力を変換して駆動回転力を出力しているのに対して、逆に軸回転を入力に発電機として動作させ、運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回収または消費することで制動として利用する電気ブレーキの一手法。発電時の回転抵抗を制動力として利用するもので、電力回生ブレーキ、回生制動とも呼ばれる。電動機を動力とするエレベーター、鉄道車両、自動車他、広く用いられる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/回生ブレーキ
モーターが発電した電力を回収して、他の車両が消費したり、蓄電池に充電することができるのが「回生ブレーキ」です。電車業界のなかや、EVの機能として有名だと思います。
電車がバッテリーを搭載することで、回生ブレーキを使用したときにバッテリーに電力を送ることができるため、回生失効が起きにくくなるということが期待できます。
回生ブレーキは、電力を受け取る車両が近くにいないと、モーターが発電機として機能せず、ブレーキがかかりません。そうするとブレーキ力を得るためにブレーキパッドなどを使用することになります。
ブレーキパッドは機械的な摩耗があり、メンテナンス性にも影響がでます。
ブレーキパッドが車輪と擦れた時に出る粉塵があり、ブレーキダストと呼ばれています。
電車は排気ガスがなく、クリーンだと言われますが、ブレーキの際にこういった粉塵を撒き散らしていることがあります。
上の動画には、回生ブレーキが搭載されている車両もあり、その車両からもしっかり粉塵が出ているので、今普及している技術では、粉塵を完全に押さえ込むことは難しいと考えられます。
バッテリーへ回生電力を送ること、回生失効を減らし、回生ブレーキがより確実に機能することで、ブレーキパッドを使う時間が減るので、こういったブレーキパッドによる粉塵の飛散は減らせる可能性について考えられます。
高速域でブレーキパッドを使うとより粉塵が飛ぶので、高速域で確実に回生ブレーキが作動することで、ブレーキダストが減らせると理論上は考えることができます。