ワイヤレス給電の電車はもう実現可能⁈ フランスにある架線なしで走る路面電車。
フランスの南西部の都市・ボルドーに、路面電車が走っており。
ボルドーの路面電車の中には架空電線(パンタグラフが電気を取り入れる電線)が存在しない区間を走るものがあります。
電源を取り込んでいるのは架線からではなく、線路の間にあるレールから電力を給電する仕組みとなっているようで、
画像を見ると二本のレールの間に、もう一本、鉄板のようなものが敷かれているのが見えますが、そちらが給電レールとなっているようです。
架線(パンタグラフが電気を取り込む電線)のある区間もあり、架線の無い区間については、線路の間に敷かれたレールから電気を取り込んで、電車を走らせているようです。
しかし、いつも線路の間の地面に大電流が流れていると、その上を歩いた人が感電してしまう危険性があります。
そのため普段その上を歩いても感電しないために、電車が通っている時だけ電気が通る仕組みで作られており、給電区間と絶縁区間を交互に組み合わせた構造にし、電車が通り過ぎたら給電区間のスイッチが切れる仕組みになっているようです。
LRTが走行する2本のレールの間に、8mの給電区間と3mの絶縁区間が交互に連なる給電用レール第三軌条を敷設する。車輌はアンテナから給電箱に信号を送り、接近を知らせ、これから通過するセグメントを通電状態にする。路面には誘導コイルが設置されており、車輌からの電波を受信できるようになっている。車両下面の接地アンテナから誘導電流を出し、これを地上の誘導コイルで受けて、制御箱のスイッチを切り替えることにより集電する。車体床に集電装置(スケーター)が取り付けられおり、車両の真下にある部分の給電レールにのみ通電するので、給電区間は車輌とともに移動するため、給電レールの上を人が歩いても感電しない。
https://www.fujii.fr/actualites/日本語-地表集電で架線レスが見事な景観整備を/
この充電システムには名前が付いており、イノレール式APS方式
と言います。
車両メーカー’アルストム’の子会社イノレール社が開発したシステムのようです。
ちなみに、こういった地面に敷いたレールから集電する方式を地表集電方式といいます。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/地表集電方式
日本では、この地表集電方式の電車を見かけることは無いので、恐らくほとんど知られていないと思います。
イノレールAPS方式は、給電レールと集電靴(電気を集める装置、通常の電車でいうとパンタグラフ)の二つを接触させながら走行し、電磁誘導コイルと言うものを使って給電レールのオンオフを切り替えているようです。
ワイヤレス給電の方式のひとつに、電磁誘導方式がありますが、こちらもコイルを使った給電方式でスマホのワイヤレス充電器などで既に普及しています。
電磁誘導方式は離れた距離へ電力を届けるのには向いてないようですが、物理的に接触する事なく給電させる事ができ、これを給電レールと集電靴に応用する事できれば、電車の無線給電も出来るのではないかと考えることが出来ます。
非接触で給電する事ができれば、給電レールと集電靴が擦れ合う事で起きる摩耗を防ぐ事ができ、メンテナンスにかかるコスト削減に繋がると事も期待できます。
↓の画像は、日産の電磁誘導方式による非接触給電。
電磁誘導方式は、送電コイルと受電コイルの距離が離れることによる送電ロスが大きいようで、そのロスを減らすため、より距離による送電ロスの少ない磁界共鳴方式
と言う方式を使用する研究も進められているようです。
https://bunken.rtri.or.jp/doc/fileDown.jsp?RairacID=0004005925
電車は動いておりパンタグラフは移動しながらでも給電を行います。そのため全くのパンタグラフの代わりとするには、移動しながらの給電が可能かどうかがポイントになってきます。
ただ、電気自動車やディーゼルカーのように、充電や燃料補給のタイプであればワイヤレス給電は既に実現可能と言えるでしょう。
移動中の物体への無線送電がネックになるとも言われていおり、技術的な課題としてこの点が指摘されています。
ただ研究として既に、走行中の乗り物やドローンなど移動体への無線給電が進められており、架線なしの給電システムもそう遠くない将来に可能になるかもしれません。
走行中EVに光無線給電、数km先にkW級電力 ドローン用進化
お勧めリンク