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ラピート台車亀裂問題から考える鉄道の安全。

2019年8月24日、南海電鉄の特急「ラピート」の台車に長さ14センチの亀裂が見つかったいうニュースがありました。この一件を機に、他の2編成の台車でも6~7センチの亀裂が見つかったそうです。

日経新聞

マイナビニュース

〈南海ラピート〉

画像は https://ja.wikipedia.org/wiki/ラピート よりお借り。

14センチの亀裂の方は、運輸安全委員会によって事故に繋がりかねない重大インシデントとして認定されたようです。

一方、6〜7センチの傷の2編成に関しては、補修をし、安全を確認した上で運転を再開しているそうです。

重大な事故が起きる前に見つかって良かったのですが、台車に亀裂が入ったまま走行を続けていた、というのは結構恐ろしいものです。

ネットニュースの発表では、台車がどこ製なのか、そのメーカーの名前が伏せられがちでした。ニュースのコメント欄にも「なぜ、台車メーカーの名前が伏せられているのか?」という意見が寄せられていました。

私もどこの台車なのかと気になったので、いくつかのニュースサイトを見てみましたが、初日の報道では中々見つけられませんでした。

後日、報じられたサイトが徐々に出て来て、日本製鉄(旧・新日鉄住金)製の台車だと分かりました。

※日経新聞のニュースサイトでは、初日から日本製鉄の名前を出して報道されていたようです。(日経新聞

日本製鉄という会社は現在、日本の鉄道車輪を独占的に作っているメーカーです。また、車輪に限らず「台車」も作っています。製鋼会社としては国内最大手で、「鋼」そのものを作っているメーカーでもあります。そのため日本製鉄で作った鋼を元に、日本の色んなメーカーが製品を作っています。鉄鋼製品はあらゆる生活の場面で使われるので、いわば日本のものづくり産業の元請けとなるような会社です。

そんな会社が作った台車からヒビが見つかった。というのがマスコミからしたら報道しにくかったようです。ただどんな理由にしろ日本製鉄の台車から亀裂が見つかった事は事実は事実なので、その点は報道しても差し支えは無いはずです。しかし、それが出来ないという事は、マスコミが公平性を欠いている一つの証拠と言えます。

日本には殿様商売という言葉があり、業界のトップに立つと、金銭欲や名誉欲に目が眩み、仕事の本筋が、いかに自分の利権を守るか、責任追求を逃れるか、いかに楽して稼ぐか、という方向へと様変わりしてしまう場合がしばしばあります。

マスコミもスポンサーの機嫌をうかがわないと活動できないというのが日本の現状です。日本製鉄のような業界トップの企業となると、スポンサーとしてもお呼びがかかり、マスコミに影響力を持つようになってきます。

また、もう一つマスコミに影響力を持っているのが電通です。

マスコミを牛耳っているが電通と言われ、この電通は大手企業の集まりである「経団連」と関係があると言われています。

現に電通のグループ会社’電通パブリックリレーションズ’の社長が、2019年1月に経団連の会員になっています。(こちらより)

そして日本製鉄の社長・進藤 孝生は、経団連の副会長を務めています。

経団連の副会長ともなるとかなりの影響力でしょう。マスコミが日本製鉄に対して及び腰なのもこういう事情があるのかもしれません。

しかし、こうやって報道に規制をかけた事で逆に怪しまれます。何か隠さなきゃいけない事があったんじゃないかと。

以前、製鋼業界では不正が行われていると報じられて、神戸製鋼のデータ捏造が大きく取り上げられていました。

そしてデータ捏造は神戸製鋼に限らず、日本製鉄の前身となる会社・新日本製鉄でも検査データの捏造がありました。

新日鉄、お前もか! 鋼管データ12万本捏造し出荷

台車亀裂のニュースで、日本製鉄の名前が伏せられたのも、こういった不正が明るみに出るのを恐れた事が背景にあるかもしれません。

南海電鉄の台車亀裂が報じられた後、「大阪メトロ」でも台車に亀裂が見つかりました。この台車も日本製鉄製でした。

kuniの経済徒然日記

〈大阪メトロ21系〉※亀裂が見つかった車両はコチラでは無いと思います。

画像は https://ja.wikipedia.org/wiki/大阪市交通局20系電車 よりお借りしました。

2件続けて日本製鉄製の台車に亀裂が見つかり、この短期間で、日本製鉄の隠れた問題が表に出てきたように見えます。

こうも台車に亀裂が入っていたら、安心して鉄道には乗れなくなってしまいます。

2017年に、新幹線「のぞみ」で台車亀裂が見つかった事でも騒がれました。亀裂の入った部材を作っていた川崎重工が規定より薄く切削していたそうです。

台車の亀裂は大事故に繋がるので、メーカー側が不正があってはならない筈ですが、日本では、大企業や財閥企業、軍需産業に関わる企業などの不正が見逃されます。

日本にひそむ隠蔽体質は、こういった人達の悪を隠す手立てとなっています。そのため不正が出来ない仕組み作りは必要だと考えれます。

ただ、実質的に権力を持っているのは不正を隠蔽するような人達です。なので直ぐには変えにくいのも現状です。

そこで有効なのが情報拡散です。少しでも多くの人が日本の裏側を知ることで、不正をする人達が活動しにくくなります。

日本の裏側について徹底的に暴いたサイトはコチラ Blog by RAPT

鉄道会社と台車メーカーの関係ですが、もし、台車に明らかな欠陥が見つかれば、鉄道会社からメーカーにクレームを入れられる社会であっても良いと思います。例え「お上」と言われるような企業でも、取引相手である事に変わりはありません。彼らの不正を野放しにしていたら、やはりこのような事故が減らせないと思います。

また、台車の亀裂問題ともなると、台車メーカーのみならず鉄道会社にも、ある程度の責任が問われる可能性があります。

台車の保守点検を行っているのは鉄道会社になるからです。

営業中の鉄道では、仕業検査が2〜6日の周期で行われており、通常なら、台車の確認もこの際に行われています。(こちらより)

鉄道の検査については、意外と曖昧なところがあるので、ここが厄介なところです。

ーー日本の鉄道車両検査 Wikipediaよりーー

2002年の省令・告示では、技術の進歩や経済・社会のグローバル化に柔軟に対応できることを目的にして、車両が満たすべき機能が保持されていれば良しとする「性能規定」の考え方を盛り込んだ内容となった[3]。これにより、2002年の告示では従来の検査周期も定められているが、一方で「ただし、耐摩耗性、耐久性等を有し、機能が別表の下欄に掲げる期間以上に確保される車両の部位にあっては、この限りでない。」[2]とされ、安全性が確認されれば機器毎に検査周期を各鉄道事業者が定めることができる

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南海電鉄が台車の検査周期を長くしていたら、そのためにラピートの亀裂発見が遅れてしまったとも考えられます。

ただ鉄道会社も経費削減に迫られている事が多いかと思います。そのため検査周期をなるべくギリギリまで伸ばそうと考える可能性があるからです。

もし検査周期が伸ばされていたら、検査周期や検査内容が見直され、これを機に検査精度の向上がなされる事を願いますが。

また、鉄道業界にも全く不正が入り込む余地がないかと言うと、そうとも考えられません。

鉄道の歴史の中でも陰謀が絡んだ不可解な事件がありました。例えば、線路の犬釘が外されるなど破壊され、そのために列車が脱線した松川事件などです。

ただこういった陰謀が企てられても、悪を見張る目を厳しくする人が増えれば、悪を企む人たちは活動しにくくなります。

そのために、多くの人が悪から遠ざかり、不正から身を引く意識を持ってくれたらと思います。

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