赤字ローカル線,  鉄道技術

一本のレールで走る鉄道車両。ドイツの研究プロジェクトが開発中の「MONO CAB」と、ルイス・ブレナンの「ジャイロモノレール」。(赤字ローカル線の新たな使用法になる?)

ドイツでは、「MONO CAB (モノキャブ)」という乗り物の研究開発が行われています。

研究プロジェクトは、工科大学OWL、ビーレフェルト応用科学大学、フラウンホーファーIOSB-INAのネットワークで行われおり、大学の教授の全体的なプロジェクト管理のもとで行われているそうです。

研究の課題は、このような鉄道車両が安全で信頼性が高く、経済的に実現可能であるという証拠を提供することとされています。

https://www.monocab-owl.de

「MONO CAB」は、一本の鉄道レールの上を走り、既存の鉄道路線を複線として利用できる輸送システムとなっています。

通常の鉄道は、2本のレールの上を一つの車両が走りますが、「MONO CAB」は、一本のレール上を一つの車両が走るため、単線だった田舎の路線を、複線の線路として利用できるようになるといった特徴があります。

使用するレールが1本のため、普通の鉄道車両に比べて車両の大きさは、小さくなっています。

Youtubeで、実際に走行試験を行なっている様子などが公開されています。

車両は、前後に並んだ2つの車輪で走行しており、自転車やバイクのような構造となっています。

このような構造だと左右のバランスが傾いた時に、そのまま倒れてしまう可能性があるため、車両には、左右のバランスを取るために「ジャイロスコープ」が使われていると言われます。

 

ジャイロスコープを使ってバランスを取りながら一本のレールの上を走る鉄道車両は、「MONO CAB」の開発以前から存在しており、1910年にルイス・ブレナンが公開した「ジャイロモノレール」という車両がありました。

こちらは「MONO CAB」に比べると大型の車両で、車重は22トン、その運転室の後ろに750kgのジャイロスコープを2つ搭載した構造だったようです。

試行錯誤を重ねて、ジャイロスコープに工夫を凝らし、乗客の全員が、車両の片側に立っても、ジャイロモノレールは完全なバランスを保って走行をするほどに強力な水平維持をしていたと言われています。

ジャイロモノレールはロストテクノロジーだと言われ、幻の技術かのように言われることもあるそうですが、YouTubeで模型を使って公開されている方がいるので、ロストテクノロジーとは言えないような気もします。

 

ジャイロスコープを使ってバランスを取る乗り物は、鉄道以外の分野でも開発がされており、1960代にGyro-Xと名付けられた、セルフバランス二輪自動車が開発されていました。

このGyro-Xは、通常の自動車に比べて空気抵抗は少なく燃費が良いと言われています。

ただ、乗車定員が1人のようなので、四輪乗用車のように4、5人は乗れそうにないです。ルイス・ブレナンのジャイロモノレールは何十人と乗れたそうなので、複数人乗れるような仕様のものを作ることもできるのでしょう。

 

ジャイロスコープを使ってバランスを取る乗り物として、2001年にセグウェイが販売されました。

セグウェイ 
https://www.peregene.com/segway-human-transporter-how-it-works/より

私もセグウェイが話題になっていたのをテレビかなにかで見た記憶があります。

また、バイト先の社長が小型セグウェイに乗っていたことがありました。セグウェイに乗る必要のない事務所内でセグウェイに乗っていたため、おそらくウケ狙いだったのだと思いますが、背筋を伸ばしてゆっくり動き回っていた姿は中々シュールな感じになっていました。

セグウェイに使われるジャイロスコープは、円盤が回転する機械式ジャイロスコープではなく、振動式ジャイロスコープというもので、機械式ジャイロスコープに比べて小型軽量化を実現したそうです。

http://www.s-graphics.co.jp/tankentai/news/gyroscope.htm

 

セグウェイは、2015年に中国の「ナインボット社」が買収。

2020年にセグウェイは、生産中止となったようです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/セグウェイ

 

1910年にルイス・ブレナンが発明したジャイロモノレールは、投資家がその設計に自信を持てず、商業化にいたらなかったとされています。

確かに、四輪車に比べると安定感はなさそうです。(もしジャイロに不具合が出たら転倒します。)

 

小型モビリティは重量が軽いため、線路や道路を傷めることも少なくなります。

そうすると道路や線路などのメンテナンス費が嵩まずに済むというメリットが考えられます。

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