鉄道全般

鉄道は経済的な交通手段ではなくなってきている。

鉄道は、大人数を運べて省エネな輸送手段と言われてきました。

その理由に、鉄のレールの上を、鉄の車輪が走り、摩擦抵抗が少なく省エネだから、というものがあります。

摩擦抵抗が少なく一度走り出したら、アスファルトを走る自動車よりも、長い距離を走ってくれます。

鉄道はエネルギー効率が良く省エネだから運賃も安いのだろうと考えられますが、鉄道以外の交通手段が増えて来た今日、鉄道運賃が最も安いのかというと現実としてそうでもありません。

高速バスやLCCが台頭し、そちらの方が運賃が安いので、鉄道は必ずしも経済的な(エコノミーな)交通手段とは言えないです。

今回は高速バスと鉄道の運賃を比較しながらなぜ鉄道が高いのか見て行きたいと思います。

比較するのは、高速バス・マイフローラ号と、新幹線と、寝台特急サンライズ号です。

まずマイフローラ号です。

高速バスは居心地に難があると言われてますが、近頃はその欠点を補うべく、寝台列車に近い乗り心地を再現したバスも走っています。

その一つに海部観光のマイフローラ号があり豪華夜行バスの先駆けにもなったバスです。

https://www.kaifu-kanko.co.jp/bus/

写真を見ても所謂高速バスと違いを感じ取れると思います。

座席数は12で、半個室状態になっています。

ここまでの設備だと、料金もさぞかし高いのかなと思いましたが、実際に調べてみると、東京–徳島の料金は13100円でした。(2019年1月時点)

高速バスの中では高い方ですが、この設備なら、他の交通手段と比べると安い料金設定ではあります。

新幹線ではグリーン車相当(それ以上?)の設備です。

高速バスが安い理由に、車体が鉄道より安い、道路の保守メンテナンス費用を会社が直接会社が負担しないというのがあります。

ただし、車体については、鉄道とバスで耐用年数が全く違うので、この点は注意が必要です。


一方、新幹線を使って東京から四国へ行く場合は、どうでしょう。

目的地は徳島ではなく香川県の高松とさせて頂きますが、新幹線のぞみ号の指定席を使って、岡山から特急しおかぜ号へと乗り継いで行った場合、東京–高松の料金は18800円です。(新幹線には、割引きが効く購入方法もあるので、条件によって18800円より安く購入する事も可能です)

こう見ると新幹線は意外と高いんですね。特に(割引き切符を使わないで)通常の切符購入で新幹線に乗った場合は、安い交通手段とは言えません。

高速バスに比べて、鉄道の方が安心という事もあるでしょうから、単純に料金だけの比較で優劣を決める事は出来ませんが。

また一つ新幹線が高いと言える理由があり、同じ鉄道の中でも新幹線の料金設定は高めです。新幹線の特急料金は、在来線の在来線の特急料金より高く設定されています。

新幹線の東京–岡山の指定席特急料金は6860円です。対して、在来線の東京–高松の指定席特急料金は3760円です。

今では、在来線で長距離を走る特急列車も少なくなってるので、東京–高松間を通しで走る在来線特急はサンライズ瀬戸号のみとなります。

https://ja.wikipedia.org/wiki/JR西日本285系電車

サンライズ出雲・瀬戸号は、2019年1月現在、日本で唯一、定期運行をしている寝台列車です。

このサンライズ出雲・瀬戸号にはノビノビ座席という種別の座席があります。ノビノビ座席は、乗車券+指定席特急券の料金で寝台列車に乗れる割安な座席です。

https://ja.wikipedia.org/wiki/JR西日本285系電車

サンライズ瀬戸のノビノビ座席を利用した場合の、東京–高松は15070円です。新幹線の指定席で行くより3000円以上安く、更に横になれる設備があるとしたら、こちらの方がお得ではないでしょうか。

新幹線が通ると、新幹線と被った区間を行き来する在来線特急は消滅してゆきます。また寝台列車も消滅してきました。新幹線が出来てから時間がたつにつれ、そういう現象が起きています。

しかしながら、新幹線は特急料金が高く、実質鉄道の値上がりを起こしている原因でもあります。

新幹線の料金設定は国による認可がないと変える事ができないという法律が作られています。一方、在来線の特急料金はJRの裁量で料金設定をする事が出来ます。(こちらより参考)

新幹線には国が大きく絡んでいます。それゆえ料金設定がイマイチなのでしょう。

サンライズ号に使われている車両285系が老朽化し、引退になった時は、サンライズ号廃止が懸念されます。もしサンライズ号が廃止になったら、廃止・引退を惜しむ声が続出すること必至だと思います。

ただ、サンライズに関しては需要があり、夜の内に東京や大阪を出発したいビジネスマンや、子供連れ家族や女性客などの需要もあります。(こちらより参考)

いずれ285系の引退が来ても、今の様に需要があれば、新型車両が新たに投入される可能性もあります。

新幹線一極集中によって鉄道の個性や多様性がどんどん縮小して行く事態は、サンライズ号の様な寝台特急の廃止は免れて欲しいです。

もちろん土地の値段をあげるために、無駄に鉄道を敷く事は決して良い事ではありません。(例えば小林一三のやり方など。詳しくはこちら

同様に、新幹線による利権や儲けのために鉄道全体が冷え込むのも、決して歓迎される事ではありません。


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