赤字ローカル線,  鉄道社会問題

ローカル線を簡単に廃止してはいけない理由。

ローカル線の存廃議論が長らく続けられています。

廃止しないでほしいという声と、廃止した方がいいという声があります。

廃止しないでほしいという声の中に、このような意見を聞くことがあります。

「地元の高校生が通学で使うから」「お年寄りが病院に通うなど出かける際に使うから」などです。

一方、ローカル線を廃止したほうがいいという意見の中には、利益が出ないから廃止したほうが良いという意見があります。

ローカル線を抱えている鉄道会社は、民間会社だから利益にならないことをやる必要はないといった意見です。

最近、お金にならないからやめろと極端に言い放つ声はあまり聞かなくなりましたが、ほとんど利用者のいない鉄道を走らせていると、負担が大きいという理由があります。

ローカル線を抱えている大手ではJRがあります。

JRは民間会社とはいえ、鉄道を走らせているので、公共事業を担っている会社になります。

公共インフラに従事している会社が、自社の利益のために次々とサービスを切り替えるなら、企業の利益にならない人々は公共サービスを受けられないということになり、企業の都合で公共サービスを受けられる人々が選別されることになりかねません。

・公共サービス基本法

日本には公共サービス基本法という基本理念のようなものが作られています。

ただこちらの法律は具体性が乏しいので、法的な効力が薄いということがwikiに書かれています。

前述のとおり同法は典型的な基本法であり、条文の具体性に欠く、理論的に準備不足が目立つ立法ともいわれ、法律自体よりもその制定運動に重きが置かれてしまったとされている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/公共サービス基本法

それでも、やはり一方的にローカル線を廃止して、地域住民から交通手段を奪うことは、法律に反することであることが読み取れます。

公共サービス基本の、基本理念「三」に「公共サービスについて国民の自主的かつ合理的な選択の機会が確保されること。」と書かれているからです。

(基本理念)

第3条 公共サービスの実施並びに公共サービスに関する施策の策定及び実施(以下「公共サービスの実施等」という。)は、次に掲げる事項が公共サービスに関する国民の権利であることが尊重され、国民が健全な生活環境の中で日常生活及び社会生活を円滑に営むことができるようにすることを基本として、行われなければならない。

 安全かつ良質な公共サービスが、確実、効率的かつ適正に実施されること。

 社会経済情勢の変化に伴い多様化する国民の需要に的確に対応するものであること。

 公共サービスについて国民の自主的かつ合理的な選択の機会が確保されること。

 公共サービスに関する必要な情報及び学習の機会が国民に提供されるとともに、国民の意見が公共サービスの実施等に反映されること。

 公共サービスの実施により苦情又は紛争が生じた場合には、適切かつ迅速に処理され、又は解決されること。


(国の責務)

第4条 国は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、国民生活の安定と向上のために国が本来果たすべき役割を踏まえ、公共サービスに関する施策を策定し、及び実施するとともに、国に係る公共サービスを実施する責務を有する。


(地方公共団体の責務)

第5条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、公共サービスの実施等に関し、国との適切な役割分担を踏まえつつ、その地方公共団体の実情に応じた施策を策定し、及び実施するとともに、地方公共団体に係る公共サービスを実施する責務を有する。


(公共サービスの実施に従事する者の責務)

第6条 公共サービスの実施に従事する者は、国民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って誠実に職務を遂行する責務を有する。

https://hourei.net/law/421AC1000000040

鉄道を廃止するというだけの話では、公共サービスの選択を奪うことになり、廃止するなら鉄道に代わるサービスが必要です。

自動車を運転できない方にとって、公共交通機関が充実して使えることで、移動の自由が得られるからです。

一方的に鉄道を廃止すれば、交通弱者と言われる人たちは移動の自由の機会を奪われます。

そういったことが起きないために、ローカル線を簡単に廃止してはいけないと言えないます。

・経済合理性

ほとんど利用者がいないのに鉄道を走らせておくのは、合理的でない、JR、もしくは、(第三セクターだと)地方自治体の負担になる、という話が出てきます。

確かに無意味なものに税金が使われて、住民の生活が圧迫されてはいけないはずです。

いきなり鉄道を無くすのでなく、維持費がかからない交通機関へと変えていくことがあるべきでは無いでしょうか。

また自動車をもたいない人にとっても使い勝手がよい交通機関が代替されるのが良いのではないでしょうか。

代替となるものは、例えばBRTといったものです。

もしくは、鉄道設備の維持を軽減できるようにするなどです。

鉄道の維持費を軽減するための考案。車体の軽量化。

ちなみに、プリズモ(prismo)という次世代新交通システムが三菱重工で新たに開発されています。

鉄道の廃止が進められるにも、代替されるものが、住民の公共交通サービスを奪っていくことになります。

そして、代替となる交通機関は、鉄道に代わる利便性が確保されているのが望ましいでしょう。

 

日本が交通機関を削られなければいけないのかというと、経済的に見てもそうとは言えない理由があります。

政府にはお金が無いわけではなく、毎年のように繰越予算が発生し、現金以外の形で多くの資産を抱えているからです。

行政と企業が一緒になって、徐々に公共サービスを奪っていくなどして、人々の生活が追いやられることのないように注意が必要です。