お得な切符,  鉄道全般

フリーパスの経済効果と利点

鉄道会社各社でフリーパスを販売しており、普通運賃で乗車するよりも割安になることがあります。

各社で一日乗車券が発売されていたり、全国規模では青春18きっぷが有名でしょうか。

フリーパスがあると、安い運賃で乗るお客さんが増えるので、鉄道会社の利益が減って良くないと言われることがあります。

しかし,ただ安くなって鉄道会社が損をするだけなく、利用者は旅行に行きやすくなり、普段旅行に行くのを躊躇っていた人も足を伸ばすきっかけとなり、その結果、出かけた人が沿線のものを利用することで、経済波及効果が生まれます。

殆どの人は、出かけた先で、なんらかの消費をしてお金を使います。

私自身、ケチケチ旅行を幾度もしてきましたが、なんだかんだ食べ物や飲み物を買ったり、お土産を買ったり、観光施設に入ったりして、お金を使うことがありました。

また、SNSに旅行の様子がアップされることで、宣伝効果が生まれることもあります。

SNSは誰でも投稿できるため、中には悪意ある投稿をする人も現れるケースもあるでしょう。

謂れのない誹謗中傷は取り締まられて、そういった悪意ある影響力が大きくならないようにした方がいいですが。

その旅先を運営する人が頑張っており、良い場所を作っているなら、そこを訪れた人には思っていた以上に良かったと感動を覚えることがあるでしょう。

 

・鉄道開業150周年記念 JR東日本パス

経済波及効果があったことがわかるように事例を取り上げます。

2022年10月14日から27日のうちの3日間、JR東日本全線と一部私鉄が乗り放題、新幹線と特急の自由席が無制限で利用可能、指定席は4回まで利用可能の「鉄道開業150周年 JR東日本パス」が発売されまた。価格は大人22150円、子ども10150円となっていました。

こちらのパスが発売されたことで、実際に旅行へ行くお客さんが増え、旅先のホテルの利用者が増えたことで、満室のホテルも増えたそうです。

傾向としては、平日はシニア層が多く、週末は若い世代をはじめ幅広い世代での利用があり、特に青森や秋田などこの切符の効果を最大限活用できる観光地においては、週末を中心にホテルが満室で全く取れないという状況も起こるなど、このチケットにおける経済効果は抜群であったことは間違いない。東北新幹線では東京から仙台の次の駅である古川まで往復するだけで元が取れる計算で、3日間使えるのは大きかった。

・北九州市 公共交通1日無料デー

北九州市では、公共交通を無料で乗れる企画が実施されました。

無料となったのは西鉄バス、北九州市営バス、北九州モノレール、筑豊電気鉄道、関門汽船でした。

無料デーが実施された時の利用者は、同じ時期の2倍に増えたと言われています。

商業施設での消費が増えるなどし、経済効果は約3億5000万円あったと推計されています。

公共交通1日無料デー 経済効果約3億5000万円 北九州市

企画を行うにあたり、お金がかかっていたことも事実でしょう。

北九州市は、実施にあたり、国の臨時交付金を活用したそうです。

このようにフリーパスは、ただ単に鉄道の収益が下がるだけではなく、周辺での消費を促すメリットがあり、その周辺への経済波及効果があります。

国の交付金が充実していれば、鉄道会社に負担がのしかかる事態も避けられるでしょう。

 

・空いた時間帯の利用を促す割引き切符

鉄道会社としては、鉄道を走らせているのに、ガラガラのまま走らせたくないというのが、経営の性質上あると言われてます。

鉄道趣味界隈では、お客さんが全然乗ってない状態で電車を走らせることを空気輸送と言われたりします。

鉄道会社は、列車を走らせるためのコストを把握しており、そのコストを回収するために、コスト以上の売り上げが必要になります。

あまりにお客さんがガラガラな状態で車両を走らせると、コストが売り上げに届かなくなります。

コストを回収するためには、やはり多少割引きされてでもお客さんが運賃を払って乗ってくれる方が良いという事情がでてきます。

そうすると、割引き切符などを利用してもらい、多少安い運賃となったとしても、お客さんに乗ってもらった方がいいということがあります。

“フリー切符って赤字にならないの?”WIN-WINを検証してみた

テコ入れになりますが、列車が空いている時間帯に適用される割引き乗車券があり、その時間帯に鉄道を利用してくれるお客さんが増え、売り上げが多少増えることで、鉄道会社にとってもプラスになり、お客さんにとってもプラスになり、win-winになると考えられます。

また冒頭で述べましたように、沿線に出かける人が増えると、経済波及効果が生まれ、SNSなどの投稿が増えた場合は宣伝効果が発生することによるメリットもあるでしょう。